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症例33:角を思わせる隆起
(ビアデッド・コリー, 6歳齢, ♂) 尾に軟性結節がみられ平成19年8月M動物病院、良性皮膚腫瘍を疑い経過観察を優先した。平成21年6月に同部位に新たな発疹を認め当科紹介受診となった。皮疹は角のように突出する全長12mmの角化物であり、その基底に皮内丘疹を認めた。 ![]() 臨床診断のポイント
皮表の付着物ないし隆起は痂皮や角化物(鱗屑)が日常的です。前者はいわゆる“かさぶた”のことであり、角質と浸出液、血液、膿または壊死組織が凝固付着した状態です。一方後者は表皮角層の剥脱物であり、表皮の細胞増殖が顕著な場合、角層の固着力が増強した場合、水疱や膿疱が先行した場合に生じます。通常は過剰な脱落や層状の肥厚を呈しますが、時に硬い円錐状あるいは円筒状様の突起を呈し、これを皮角と呼んでいます。
初診時方針のポイント
皮角は臨床的な症候名であり、ヒトでは角化症、表皮腫瘍、毛包腫瘍などにより生じます。犬では日光角化症、乳頭腫、dilated pores、基底細胞腫、有棘細胞癌、ボーエン病(in situ carcinoma)、皮内角化上皮腫(ケラトアカントーマ、毛包漏斗部角化性アカントーマ)で生じます。したがってその方針として、組織学的な診断と治療をかねた皮角基部の外科的切除か、あるいは経過観察が選択されます。 |