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症例41:
頬の傷
(キャバリア,9歳齢,去勢♂) 平成23年11月頃右眼下に傷を認め近医にて加療するも改善なく、平成24年4月H動物病院受診、細菌培養検査および感受性試験に基づいてミノマイシンを処方したが漿液が持続し平成24年6月25日当科紹介受診。毛を刈ると瘻孔がみられた。 ![]() 臨床診断のポイント
瘻孔(ろうこう)とは、体内と体外との間、または管腔臓器間に生じる管状の欠損です。皮表に生じる瘻孔では真皮や皮下脂肪織、あるいはその下に位置する病巣によって生じます。病巣の深さによって表皮の性状は変化し、病巣が浅いと紅斑、脱毛、潰瘍などの発疹が強調されます。また病巣の深さによって鑑別が異なり、真皮内では外傷、異物、感染、循環障害、腫瘍および近縁疾患(嚢腫や奇形)、皮下脂肪織およびその深層では上記以外に非感染性脂肪織炎、周辺組織の疾患が予想されます。自験例は経過が長いにもかかわらず表皮の変化や発疹の拡大に乏しく、皮下脂肪織ないしそれより深い位置に生じた感染ないし非感染性炎症が予想されました。さらに発疹は頬に位置しており、周辺疾患として外歯瘻(がいしろう)、鑑別として眼科疾患、中耳疾患等をあげました。 初診時方針のポイント
感染症に対する検査(皮膚掻爬検査、細胞診、細菌培養検査、真菌培養検査)、また歯科の評価として歯や口腔粘膜の臨床的評価(歯や歯肉に明らかな病理を認めないこともあり)、中耳の触診と外耳の視診、さらに眼底を含めた詳細な眼科評価を考慮した上で、歯科用X線検査やCT検査を実施したいです。なお一般のX線撮影装置しか使用できない場合、ゾンデを挿入した状態で撮影し瘻管と原疾患の位置関係を検討するようにしています。 |